血液の疾患

対応疾患

急性リンパ芽球性白血病

急性リンパ球性白血病(ALL)は、リンパ系細胞の悪性腫瘍で、リンパ腫と本質的に同一系統の疾患であり、 骨髄が原発という点でリンパ腫と区別されます。犬のALLの発生機序は不明ですが多くは特発 性です。近年、RAS、FLT3、C-KITなどの遺伝子異常が報告され関与が示唆されています。猫では過去にはFeLVの感染が多く認められ、その発生に関与しています。

慢性リンパ性白血病

慢性リンパ 性白血病 (CLL)は、骨髄にお いて小型から中型の成熟した形態を持つリンパ球がクローン性に増殖する疾患です。発生機序については不明ですが、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI とCD25の発現が低いという特徴を示し、発生原因に関与していることが示唆されています。
CLLはかなりまれな疾患で発生率は不明です。猫では散発的に報告が認められていますが、発生率や猫種は明らかでありません。

急性骨髄性白血病

急性骨髄性白血病 (AML)は、猫では猫白血病ウイルス(FeLV)の感染で発生することが多いです。
AMLはかなりまれな疾患で発生率は不明です。
猫のAMLはFeLV感染したものでは、若齢から中年齢で発生することが多いです。

慢性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病(CML) は、成熟した白血球のなかの好中球が腫瘍性に増殖する疾患です。好中球は通常 、炎症、アレルギー疾患、腫瘍といった疾患で増えますが、CMLの場合はこのような疾患がみられずに持続的な好中球、好酸球、好塩基球のいずれかの著しい増加が認められる場合に本疾患が疑われます。原因はよく分かっていません。
CMLは非常にまれな疾患で発生率は不明です。

多発性骨髄腫

血液のがんの一種で、血液細胞のリンパ球の一種である形質細胞の腫瘍であり、この細胞から免疫グロブリンや破骨細胞刺激因子などが分泌されるタイプのことを指します。本腫瘍では、骨髄内で形質細胞が腫瘍化して、しばしば血液中の蛋 白が異常に増加したり、骨が脆くなったりするほか、貧血や血小板減少、血栓症などが発生します。
猫ではほとんど発生はみられず、かなりまれです。

免疫介在性溶血性貧血

免疫介在性溶血性貧血(IMHA)は、免疫 介在性に赤血球が破壊されて、貧血を起こす疾患です。 原発性と二次性があります。原発性では、赤血球膜表面の抗原に対する抗体が産生されます。一方、二次 性には、腫瘍や感染症などの基礎疾患、薬の投与、ワクチン接種などによって引き起こされるものが含まれ、血管のなかで赤血球が破壊されるタイプ(血管内溶血)と血管の外(脾臓や肝臓)で破壊される タイプ ( 血管外溶血)があり、血管内溶血のほうが発症は急で重症です。

再生不良性貧血

再生不良性貧血は、赤血球、白血球、および血小板がすべて減少する血液病です。造血の場である骨髄では、造血幹細胞が障害され、そのため 血細胞が著しく乏 しくなり「骨髄低形成」となっています。 その原因は、 特発性(免疫介在性)と続発性(ホルモン異常、感染症、薬物、毒物、放射線照射)とされています。
ホルモン異常は、エストロジェン過剰によって発生し、セルトリ細胞腫、顆粒膜細胞腫やエストロジェンの過剰接種によ って発生します。感染症は、白血病ウイルス (FeLV)がしばしば関与します。薬物は、シクロホスファミドなどのアルキル化薬で高頻度に発生させます。
特発性の再生不良性貧血はまれな疾患であり、発生頻度は不明です。

免疫介在性血小板減少症

免疫介在性血小板減少症(IMT)は、血小板表面に免疫グロブリンが結合し、それを介して血小板が急速に壊される疾患です。
IMTには自己免疫疾患の原発性IMT と、基礎疾患(腫瘍、感染症、そのほかの自己免疫疾患など)に併発する続発性IMTとがあります。

リンパ腫

猫では前縦隔洞、胃腸のリンパ節や粘膜、腎臓、鼻腔、眼窩においてリンパ腫が発生します。猫の発生原因の重要な素因としてウイルス感染があり、猫白血病ウイルス(FeLV)感染で62倍、猫免疫不全ウイルス(FIV) 感染で6 倍と発生率が高まります。
猫の全腫瘍のおよそ3 分の1 はリンパ腫であるとされており。猫10万頭あたりリンパ系腫瘍の発生は200頭とされています。過去には、FeLVやFIV の 感 染によるリンパ腫の発生が多く認められていましたが、 最近は自然発生のリンパ腫の発生が増加してきました。好発年齢の中央値は胃腸管のリンパ 腫 で12~13歳齢で、若齢から高齢に多い病気です。
ウイルス感染のある猫で は高悪性度のことが多いのですが、陰性の場合は低悪性度のほうが高悪性度よりもやや多い傾向があります。

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